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肩関節脱臼

事故による肩関節脱臼の治療について

交通事故の衝撃で肩を強く打ったり、不自然な方向に腕がねじれたりすると、「肩関節脱臼」を引き起こすことがあります。肩関節は人体の中で最も可動域の広い関節ですが、その分脱臼しやすい部位でもあります。適切な治療を行わないと、再発しやすくなり、肩の機能に支障をきたすこともあるため、早期の対応が重要です。

交通事故後の肩関節脱臼の主な原因

1. 事故時の衝撃による直接的なダメージ

交通事故で肩を強く打ったり、ダッシュボードやハンドルにぶつけることで、関節が外れることがあります。

2. 転倒や腕の強いねじれ

バイクや自転車事故などで転倒し、手をついた際に肩に強い負荷がかかると、脱臼を引き起こすことがあります。また、シートベルトによって片方の肩に過度な力が加わる場合もあります。

3. 関節の柔らかさや筋力不足

もともと関節が柔らかい人や、筋力が低下している人は脱臼しやすい傾向があります。一度脱臼すると、その後の外力で再脱臼しやすくなることもあります。

肩関節脱臼の主な症状

肩の激しい痛み:脱臼すると、肩の周辺に強い痛みが生じます。
肩の変形:正常な位置に肩関節がないため、肩の形が崩れ、不自然な位置に見えることがあります。
腕を動かせない:関節が外れているため、腕を動かすことが困難になります。
しびれや感覚の異常:神経が圧迫されることで、腕や手にしびれを感じることがあります。
腫れや内出血:脱臼により周囲の組織が損傷し、腫れや内出血が生じることがあります。

肩関節脱臼の種類

1. 前方脱臼(最も多いタイプ)

肩関節脱臼の約90%以上が前方脱臼です。腕が前方に押し出され、肩が不自然に前に出た状態になります。交通事故では、ハンドルを握っている状態で前方に衝撃を受けた際に発生しやすいです。

2. 後方脱臼

比較的まれですが、強い衝撃が肩の後方から加わると、肩関節が後方に外れます。バイク事故や、シートベルトによる圧迫が原因で発生することがあります。

3. 下方脱臼

腕を極端に上に引っ張られたときに発生します。肩関節の靭帯や神経が損傷しやすく、回復に時間がかかることが多いです。

肩関節脱臼を改善するための対策

1. すぐに医師の診察を受ける

脱臼した場合は、自己判断で肩を元に戻そうとせず、すぐに整形外科を受診しましょう。無理に動かすと、靭帯や神経がさらに損傷する可能性があります。レントゲンやMRI検査を受けることで、関節の状態を正確に把握できます。

2. 応急処置を行う(RICE処置)

医療機関へ行くまでの間は、以下の応急処置を行いましょう。

Rest(安静):肩を動かさないようにし、無理に腕を使わないようにしましょう。
Ice(冷却):患部を氷や冷却パックで冷やし、炎症や腫れを抑えます。
Compression(圧迫):無理に圧迫せず、固定する程度にとどめます。
Elevation(挙上):肩をなるべく心臓より高い位置に保つことで、腫れを防ぎます。

3. 専門医による整復(関節を元に戻す)

病院では、医師が適切な方法で脱臼した肩関節を元の位置に戻します。場合によっては鎮痛剤や麻酔を使用することもあります。

4. 固定とリハビリ

整復後は、再脱臼を防ぐために数週間、三角巾やサポーターで固定することが推奨されます。その後、適切なストレッチや筋力トレーニングを行い、肩の機能を回復させます。

5. 再発予防のための筋力強化

肩周りの筋肉を鍛えることで、脱臼の再発を防ぐことができます。特に、**回旋筋腱板(ローテーターカフ)**と呼ばれる肩のインナーマッスルを鍛えることが重要です。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。

6. 慢性的な脱臼の場合は手術も検討

肩関節が一度脱臼すると、靭帯や関節包が緩み、再脱臼しやすくなります。特に、日常生活で何度も脱臼を繰り返す場合は、手術で靭帯を補強することも選択肢の一つです。

まとめ

交通事故による肩関節脱臼は、強い衝撃や転倒によって発生しやすく、放置すると再発しやすくなる可能性があります。脱臼した場合は、無理に動かさず、すぐに医師の診察を受けることが大切です。適切な治療とリハビリを行うことで、肩の機能を回復し、再脱臼を防ぐことができます。

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